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Planning & Design team

企画デザインチーム

150年の歴史で培った素材の知識を活かして、お客様のアイデアやご要望をカタチにする、生地と繊維のプロチームです。常在のテキスタイルデザイナーたちが、生地の完成までサポートいたします。
このほか、オリジナル生地や傘地をはじめ、海外展向けの企画デザインも手がけています。
生地の企画や設計だけでなく、WEBコンテンツやSNSを活用した広報業務なども幅広く担当しています。

新しい時代へと進化していく槙田商店のテキスタイル

入社当時から、槙田商店のテキスタイルづくりを支えてきたデザイナーの田村。
先代たちから受け継いできた技術と知識を、次世代を担う若手デザイナーたちへと繋いでいきます。
新しい時代を進む彼女たちに、何を思い、何を伝えていくのでしょうかー。

interviewee:企画デザインチーム 田村/さとか/ミサト

Q.学生コラボをきっかけに入社された、槙田商店初の地元出身ではないデザイナーさん、ですよね。

ミサト:そうですね。2014年入社なので10年経ちました。もともと、2009年に始まった東京造形大学のプロジェクト「富士山テキスタイルプロジェクト」というのがありまして、富士吉田市の機屋さんたちと学生が生地や製品を作るものなのです。

その際に私はこのプロジェクトで槙田商店さんと出会い、一緒に制作をさせていただいたのがきっかけです。

Q:商品化されている「菜sai」ですよね。

ミサト:はい、そうです!入社後、ブラッシュアップして製品化に繋がった思い出深いものです。

Q:10年経ってどうですか?

ミサト:10年って長い時間だと思うのですが、まだ何も知らないことが多いなって思います。学校でテキスタイルを学んでいたものの、当初、田村さんから「経糸空いてるけどやってみて。」って言っていただき、それまではすでにあるものをベースに加工とかアレンジはやってきていましたが、一から作るに際し、本当に初めは全くわからなくて。たてしま、しまわり、こうやって作っているんだとかいちいち学ぶことばかりでした。

田村:私の場合は入社当時それこそ経糸準備から検反など最初から最後までやってましたから。当時は企画部は2人だけでしたし、槙田商店の仕事はOEMが中心だったので、全部やるしかなかったですね。そもそも前任者から引き継いだ時もきちんと引き継ぎ資料にはなっていなくて、紋紙データ作りを一からやったことを思い出しました。

ミサトちゃんもさとかちゃんもその辺りは経験していないですからね。

ミサト:私は服ブランドさんとのお仕事周り、さとかさんはWEB周りを多く手がけているのですが、つくづく、織物って実際の経験が大切だなあと。

さとか:昔に比べて今はオリジナル傘の仕事の割合も増えていて。生地だけでなく、傘という分野が広がったことでさらに社内での情報共有の大切さを感じたんです。糸の発注や紋紙、加工の情報や品番などデジタル化することで引き継ぎやすいでしょう?一緒に働く仲間がたとえば産休に入っても回していける、結果的に槙田商店は働きやすい環境になると思うんですよね。

経験がなくても、知識は伝達できるから、それを使っていけるようになるから経験も積めるでしょ。

Q:なるほど、共有って大切ですね。ある意味レシピ化するっていうことですものね。でもレシピ化がむずかしい部分もあるんじゃないですか?

田村:やってみなければわからない部分、でしょうね。ある程度はやり方やプロセスがわかったとしてもやってみることで気づくことや課題など、頭で考えているよりももっと発見があるからです。

Q:だから引き継ぐと一言で言ってもそんなに簡単ではないっていうことですね。ミサトさん、デザイナーとして田村さんから引き継いだことってなんですか?

ミサト:デザインの難しさというところですね。正解はないということです。例えば田村さんがやってこられたチェックの柄の傘があるのですが、正方形ではないんです。ちょっと縦長。なぜなら目が落ち着くからって。書いてみたデザインを見せて、「もっとこうするといいよ」って直しを入れていただいたり。平面上、絵の段階だとわからないことって色々あって、先ほどおっしゃったみたいにやってみないとわからないんですよね、その匙加減は。こうやって一緒にやっていただいている間にそれを学びたいと思うんですが、それと同時にデザインに一つの答えはないということも日々学んでいて。

田村:傘って制限があるんですよ。まず形も基本形があるし、撥水、UVなどの機能面も考慮しなけらばならない。でも服地となるともう少し自由度が上がります。それと同時にお客様が何を求めているかを見極めることが大切になってくるんです。しかも時代や風潮によって変化しますから、それをどのように反映するかを考え続けなければならない。組織、糸の種類、柄、いろんなものの集合体でできているので見極めることは難しいです。どうしようって壁にぶち当たる。それが経験になるわけですから。

ミサト:知識は受け継ぎましたが、経験は自分でするしかないので。

田村:まあ、私より先代には知識がたくさんある人がいらっしゃって、柄を変えるとかも軽々していたり、それこそ味見をするみたいに布を触って「これでよし」みたいな方とかね。

PTJ(プレミアムテキスタイルジャパン)にも出てましたが、まあ、昔は今みたいにオリジナルではなく、基本がOEMでしたから、今の方が難しいことに挑戦していると言えるのではないでしょうか。

田村:さとかちゃんが入ってきたタイミングも良かったですね。グラフィックができる人が来るって。

さとか:びっくりしました。スカウトされたんですよ。「どう、うちこない?」って声かけていただき、オリジナル傘を作るという流れになり、2011年3月には入社したのですが、全く生地組織とか知らない中、とにかく花柄の傘、ひまわり柄の傘を作るということになり、一から勉強しながら進めました。

田村:グラフィックはできるけど、傘になった時のこととかもちろん知らないじゃないですか。だからレイアウト云々もわからないからNGもいっぱい出しながら頑張ってたよね。

さとか:デジタルで絵を描く時ってぼかしを入れがちなんですよ。ところが限られた条件と色で絵を描かなければいけないこと、それが生地、ましてや傘になるなんて、今までやってきたことの延長でありつつも全く新しいことばかりで、面白くて、ずっとやり続けられるなあって思います。でも当時は必死にやっているだけで、何をやってるんだろう、仕上がりも想像できなかったです。それが徐々に傘になっていき、絵おり、kirieシリーズとしてギフトショーデビューをした時は嬉しかったです。

ミサト:私は織を学んでからのスタートなので、考える時も織りから入ってしまうんです。そうすると分かっていた通りのものになるんです。でもわからないで描いたもののほうが面白い生地になることもあるんですよね。学校で織りか染めかを選べたんですが、織りにした理由は絵を描くのが苦手だったからなんですが、絵から入れるのもいいなあと思ったりします。

田村:織りのミサトちゃん、グラフィックのさとかちゃんがいてくれることでできることが増えていると思うよ。例えばグラフィックをジャカードで織りたいっていう人が来たらさとかちゃんに対応してもらっているんです。グラフィックの経験があるからその意図が汲み取りやすいでしょ。それを実際に13色、8色など緯糸の逆数で分けるとか、風合いとか、4丁3色とかね、後方サポートをミサトちゃんがやって、さとかちゃんがクライアントさんと会話することもできるし。

良い体制になってきた今だからこそ言えることは、「もっと踏み込め!」ってこと。デザイナーさんがいうことを汲み取ってやるだけでなく、プラスアルファにしてあげることができると、次に繋がりますからね。そのままやっていたのではつまらないよって。笑

クライアントさんとの関係って、予想を超えてあげることだと思いますし、それができるのも槙田商店の良さ。組織や素材を知ることも大切だけど、実際の糸を染めて試織してみたりとか、事前に余裕を持って実験することも大切。そういう積み重ねがあったらクリエイティブなことがやっていけるから。

ミサト:織機にかかっている経糸は黒なことが多いんです。ミラノウニカに出す際も、黒や光沢のある生地が多かったです。黒系の生地は汎用性が高く、人気なのも確かなんですが、どこかで脱したいという気持ちはあります。シーズンに一つぐらい色を楽しむものを作ってみたいなと。そういう意味では経糸にベージュとかあれば良いなと。

デザイナーさんとのお話でもオリジナルで経糸から染めて作れますよ、とお伝えはするんですが、同時にロットも時間もかかるので、どうしてもランニングしている黒の経糸を使うことが多く、暗っぽくなりがちです。なので、色よりも素材感や立体感で遊べる生地をデザインする工夫をしてるんです。

 

さとか:私はグラフィック観点からも広口で柄、しかも大柄を見せるもの、絵を生地で表したいなって。槙田商店には180cm幅で1柄を織れる織機があるのでそれを活かしたいんです。タッチも水彩だったりデジタル風だったり、発色や印象が変わるものをやってみたいなと。

田村:組織をいじって、さとかちゃんの絵をみさとちゃんと田村で奥行きをつけていける、そんなものづくりができているのが良いなと思いますよ。

Q:さとかさんは昔から絵が好きだったんですか?

さとか:そうですね。絵との出会いは小学生の頃の落書きなんですよ。そのままずっと飽きずに絵を描き続けてます。色味がはっきりする絵が好きで、マリメッコとか好きですね。ぼんやりしたファンシーさやパステルさよりもそういう意味ではダークめな強さの生地が好きですね。だから黒い経糸を活かしたものが作れそうです。

田村:でもまだ自分を出し切ってないよね!笑

さとかちゃんも職人気質だからずっと画面の前にいて向き合ってるでしょ?ミサトちゃんの方がサンプルを切ったりあれこれ他のことをやって、企画やデザインに活かしてたりするね。さとかちゃんも、もっと自分を出していっていいからね。

まあ、こうやって3人いることでいろんなデザインができるようになったから、WEBページでグラフィックから生地を作れるって伝えられるなと思っているんです。さらに私たちにはなつみちゃんがいてくれるからね!

槙田商店の想いを伝え、届けることの大切さ

高い技術を持ったデザイナーや職人たち、整った設備が槙田商店の特徴であり大きな強みです。だからこそ出来る織物や傘たち、引いては槙田商店の想いをより多くの人へ届けるために始めた取り組みとはー。

+interviewee:企画デザインチーム なつみ

なつみ:なつみです。槙田商店5年目です。デザイン企画部にいるのですが、私の仕事は広報業務とECが中心です。

田村:ECを強化しようという時に来てもらったんだよね。

なつみ:はい!私の仕事は槙田商店の良さや商品を言葉で伝えることだと思っています。

田村:実際それって片手間ではできない大切な仕事なんですよ。真剣に担当が取り組まないといけない。なつみちゃん、文章も上手で。顧客への報告なんかをみても、かいつまんで端的にきちんと伝えられていて。

なつみ:実は文学部出身なんです。だから逆に織物とか全く知らなくって。就職活動でWEBを見て、伝える力が槙田商店は弱いからそういう人に来てほしいって書いてあるのが印象的で。私は一応文学部だし、力になれるかもって。

田村:会社の力になれてきてるよ。実際に数字としても見えてきましたしね。テキスト書いてアップしいく目標を明確にしているのが良かったかな。文章が定期的にきちんと作れるからこそweb広告もちゃんと活かせるようになってきたし。

Q:これからやっていきたいことって?

田村:槙田商店は、若いデザイナーたちが増えたことで、より踏み込んだものづくりができることが強み。なつみちゃんが入ってきてくれたからECも稼働できる。だからこそ、今まで以上に発信力、自分たちのできることをきちんといろんな形で伝えていかなければいけないと思うのね。

ミサト:子どもの描いた絵を生地にすることみたいに、個々に向けた販路の開拓とかも興味あります。あと、ものづくりで言うと生地でしか出せない凹凸、ピンタックや縮むことで柄が生まれたりするような世界など、生地の面白さがもっと伝えられたらいいなと。

田村 : この産地自体、先染めと言って糸を染めてから織るのだけど、それって写真では伝わりにくいじゃないですか。一般の方も先染めと後染めの違いってわかりにくいでしょうし。その辺りも伝えていけるコミュニケーションはもちろんだけど、企画としても考えてもいいかなと。

ミサト : そうですね、先染めは圧倒的に色の深さや細やかさが違いますよね。あとは、見ていただく機会も増えてますから、毛並みをデザインするような、ずっと触りたくなる、質感にこだわった生地もつくっていきたいです。

田村 : 今は色々なクライアントさんたちとの出会いが増えていることで経験が詰めているよね。

なつみ : 私自身は多分お客様に近いんです。社内の方々が使っている専門用語や当たり前だと思っていることも、実際のお客様にはわかりにくいかもって。ものづくりをきちんとしているからこそ、わかりやすく伝える。こだわりもデザインも色も、初めてHPを見てくださった方が疑問を持たないように伝えていきたいなって。

田村 : さっき、さとかちゃんが180cm幅生地のことを言ったと思うんだけど、服だけでは実はもったいないのよね。インテリアに展開できるじゃない?実際海外販売で生地を売っているんだけど、それはインテリアに使ってもらっているの。槙田が扱っている素材も、天然素材から耐久性を求められる素材まで幅があるからこそ、インテリアという分野での可能性はあると思う。

ミサト : 180cm幅の生地の魅力、この見せ方が大切ですよね。大量に作って、というよりも個々の人や空間を作られる方、建築やデザイナーさんなどに向けて特別なものを一緒に作れるということを知ってもらいたいです。

田村:槙田といえば傘と言っていただけるほど、多くの方々に愛用いただけている今、布から作れる槙田だからこそ、もっと色々な事ができるということを伝えるタイミングに来ているかもね。

ミサト:テキスタイルって、近くで見て、触ってわかる良さもありますけど、引いてみて柄や質感のうねりを楽しむこともできる不思議な素材。Fuji TEXTILE WEEKでアーティストさんが生地を空間に大胆に使った作品が発表されましたが、私たちも自分たちの生地をみていただける場所を考えてもいいかもと。

田村 : 180cm生地の見せ方が難しいのは「すごいね!」ってなってもお客さんがそこから先、どうやって使っていいのかで悩んで形になりにくいところもあると感じていて。槙田は生地をデザインできるけど、そこから先の使い方、服にしたらどうなる?服の形を考えて、そこに柄が展開できることを伝えたり、空間やインテリアの想像をしてもらえるように考えたりもできるんじゃないかな。

ミサト : ここまで一からできるところってなかなかないと思うんです。だからこそ、私たちのデザインという仕事に限界を作らずに、もっとお客様やこれから先の未来に伝え、つながる仕事をやっていきたいです!

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