

Planning & Design team
企画デザインチーム
150年の歴史で培った素材の知識を活かして、お客様のアイデアやご要望をカタチにする、生地と繊維のプロチームです。常在のテキスタイルデザイナーたちが、生地の完成までサポートいたします。
このほか、オリジナル生地や傘地をはじめ、海外展向けの企画デザインも手がけています。
生地の企画や設計だけでなく、WEBコンテンツやSNSを活用した広報業務なども幅広く担当しています。
槙田商店のテキスタイルデザイナーとは?
東京の美術大学でテキスタイルデザインを専門に学んだ井上。
ユニークな織物のデザインを得意とする彼女に、お客様がイメージするテキスタイルをどのように設計して織物に落とし込んでいくか尋ねました。


テキスタイルのエンジニアのような存在
私が所属している企画部は、主にテキスタイルのデザインを行う部署です。テキスタイルデザイナーと言うと、テキスタイルの柄をオリジナルで描くイメージがありますが、私達はお客様が作りたい織物をカタチにする、言わば設計士のような仕事をしています。槙田商店は、織物(布帛)の工場ですので、まずはどのようなご用途でお使いになる織物を作りたいかについてお客様にお伺いしてから、風合いや素材を決めていきます。糸は天然繊維から化学繊維まで様々な種類があり、糸の使い方、柄、打ち込みや織り方(織物組織)生地の風合いやイメージががらりと変わります。組み合わせが無限大なので毎回やってみないとわからないことが多いです。

イメージを共有するためのコミュニケーション力
作りたい柄があるお客様には、その柄をどのような雰囲気の織物にしたいか、槙田商店がこれまで織ったテキスタイルのアーカイブをご覧頂きながらイメージを膨らませて頂きます。例えば、地の色はフラットなデザインにしたい、柄の部分はボコボコにしたいなど、織物に触れながらご意見をお伺いすることで、織物の設計イメージを固めていきます。お客様が遠方にお住まいでご来社いただけない場合は、メールなどで頂いた柄を見ながらオンラインミーティングでイメージを共有することもあります。そして、その雰囲気に合いそうなテキスタイルをいくつかピックアップしてスワッチを送付させていただき、槙田商店で織ることのできる織物の雰囲気を掴んで頂きます。槙田商店オリジナルの柄をInstagramでご覧いただいて、色や糸や打ち込みなどを変えながらお客様のオリジナルテキスタイルを作る場合もあります。

織物を織るために必要な準備を念入りに行う
企画が決まると、織物組織の設計に入ります。みなさんはあまり見慣れないと思いますが、ビットマップのようなマス目を埋めながら設計を進めていきます。基本的に、織物は経糸と緯糸のみで設計しますが、経糸と緯糸の組合せ方で色の見え方や風合いがわかりますので、パソコンの画面上でデータを作ります。織物組織を間違えるとイメージしていない織物になってしまうので、慎重に作業を進めていきます。お客様の発注内容が決定したら、今度は糸の準備を行います。ありダテ(事前に準備してある経糸)があればスムーズですが、無い場合は整経(経糸を必要な本数分同じ長さに引き揃える仕事)をする織物の準備工程が発生します。また、色を変える場合は、染色屋さんに染めて頂く必要があります。綿、キュプラ、ポリエステルなど、染める糸が変わると仕上がってくる色糸の色も変わるので、色彩感覚も必要です。

織物のサンプルの作成
パソコンで作成した織物データをジャカード織機で読み込み、数十センチ~1mほど試織(ししょく)をします。それをお客さまに確認していただきOKであれば着分を織ります。着分では必要なメーターからオーダーできますが、織物は少し織るだけでは地の目が曲がってしまったり、生地として安定しないので、10m以上は織るのをおすすめしています。また後加工を施すことが多いので、後加工工場で作業ができる最低限の長さを織っておく必要があります。服地の場合は起毛加工や縮絨や緯糸のカット、傘生地の場合は撥水加工やUV加工などの様々な後加工があり、加工で織物の見た目から機能に至るまでテキスタイルの雰囲気をガラリと変えることが出来るので、テキスタイルデザイナーには知識と経験が必要です。

織物に触れていただくための大切な展示会
最近では、私がPTJ(Premium Textile Japan)やFABRICa NIPPONなどの生地の展示会で、お客様と出会う機会が増えています。直接お客様とお話をさせていただいたり、槙田商店の織物に触れていただくことで会話が弾みます。私達が作った織物がどのようなお洋服になったかを理解するために、お洋服の展示会に行くことも大切にしています。織物の落ち感でドレッシーな雰囲気になったり、フェミニンなイメージになったりと、かなり表情が変わるので、デザイナーの皆さんにテキスタイルをイメージしていただきやすいように、最近は織物をトルソーに巻いた動画などもInstagramにアップしていますので、ご覧頂けると嬉しいです。

企画から生産まで一貫して手がけるのがテキスタイルデザイナー
お客様の納期を確認しながらスケジュールの調整を行う作業も、重要な仕事のひとつです。織物には多くの準備工程があるので職人さんと密に連携を取りながら、調整をする必要があります。織機にどんな経糸がかかっているのかを把握しながら緯糸の発注状況を確認します。最近では新型コロナウイルス感染症や世界情勢の影響から糸が入荷しにくい状況が続いていますが、企画部で連携を取りながら、魅力的なテキスタイルが作れるようなサポート体制を築いています。槙田商店には、生地幅が約1800mmまで織れる大型のジャカード織機があるので、とても大胆な柄の織物を織ることも出来ます。是非、テキスタイルを作ってみたいデザイナーさんからお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。